一月の中頃まで国交省の事務所に詰めての仕事。
非常にIT土木チックな仕事でテンションは低い。


その事務所の裏手は山林になっていて お寺とお墓が並び
そこを抜けると駅までの近道になっている。
帰る時間になると街灯ひとつなく目をつむっているのと変わらないくらい真っ暗になるので
肝試し感覚で毎日その道で帰っている。


この日も真っ暗な山道を歩いていると
「ウォン!ウォン!!ウォン!ガルゥ〜」
と殺気に満ちたヴォイスが暗闇から響く。


暗くてもハッキリ浮き出るくらいの真っ白な犬が狂ったように吼えている。
しかもメチャでかい!


飼い主らしき人がいたので余裕をカマしていたら、鎖につながれていないでやんの。
当方4人。足元の見えない広場で、いわゆるフリーバトル状態。


すごい勢いで吼えながら距離を詰めてくる。
犬ってのは背を向けて逃げると追いかけてくるので逃げることもままならない。


・・・殺される。マジでそう思った。


その時ようやく飼い主が
「コロ!!やめなさい。行くよっ!」
と2、3回呼んで ようやく奴は去っていった。


我々はギリギリのところで事なきを得た。
みんなピンチから脱したので笑っていたが足元は震えている。
それくらい修羅場だったのだ。




しかし一つだけ言える事は、奴の性格及び風貌から「コロ」という名前が絶対似合わないということである。